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私の祈り
平成9年12月
仙台市医師会報
第402号
私の祈り
江 場 克 夫
長引く不況,刻々と足音を立てて近づく少子化と超高齢化社会等,私たちを取り巻く状況は決して明るいものではありません。医療機関を見ても,患者数の減少と収入の減少を見て危機感を持っている所も少なくありません。
そこで私は次のことを,同志であり,患者さんの救済のため日夜奮闘している医師たちに呼びかけ,かつ祈ろうと思います。
日本は病気をすればだれでも医師の診察を受けられ,最高の医療を受けられる世界でも最も幸福な国です。たとえ社会の状況が厳しくなったとは言え,我々は良心にかんがみ患者さんに対して自分の持てる最良の技術と医学知識を駆使してbestの診療を行って参 りましょう。人々の幸福のために今日の医学の進歩を進めてきた先輩も私たちがbestを尽くすことを望んでいらっしゃるでしょう。我々医師はおびえず,強くあり恐れてはなりません。我々はこの地上に何も持たず,裸で生まれてきてまた何物も持たず裸で死んでいきます。 我々には,地上の栄光や名声,それにこの世での宝は問題ではありません。必要なのは病んでいる患者さんにbestを尽くすことです。我々が医師になるまでに与えられた多くの試練と時間,それに医師になってからの数々の体験,その中にはたくさんの苦い経験が含まれますが,それらの多くの貴重な宝物は,すべて我々の眼前の患者さんの幸福のために使われるためにあるのです。我々医師に与えられたのは,恐れためらう心ではなく患者さんに全力を尽くす勇気と力,患者さんを愛する心と普段からの慎みの心です。私たちは今,試練のただ中にあります。しかし,私たちはこの試練の中でこそ強くなれるのではないでしょうか。試練は忍耐を生み,また忍耐することによってより高められた心が生じます。さらに私たちは心の中に太陽を持ち,その太陽の温かい光によってあたためられた心を持って医療行為に当たるのです。あたためられた心と医療技術で患者さんが癒されれば,幸福がそこから広がりやがて少しずつ周囲が幸福になり,その幸福は成長するでしょう。我々の医療施設の一つ一つが今日の渇ききった砂漠のような世の中で,オアシスになれれば何と素晴らしいことではないでしょうか。
人生は旅のようなものです。時には疲れ,病むこともあるでしょう。その時にはオアシスに立ち寄り休息し,癒されればまた旅を続ける元気と勇気もわいてくるでしょう。病人は,私たち医師を必要として私たちのもとにやってくるのです。そのような病人のために,私たちは私たちの持てる力を最大に発揮してその病いの癒えるように備えるべきものと思います。病人は,自分の一番弱い所をかかえて来院されるのです。その患者さんの一番弱い所をしっかり受けとめ,受容し癒していく努力をしていくのが我々の道ではないでしょうか。
さあ,臆せず,目を覚まし耳を澄ませて,我々の天職である患者さんの癒しのために,前向きに全力で立ち向かって参りましょう。
仙台市太白区長町南4−5−28−107
仙台いたみのクリニック
(麻酔科,内科,整形外科)
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