木村 久夫の祈り
眼を閉じて母を偲べば幼な日の 懐(いと)し面影消ゆる時なし
音もなく我より去りしものなれど 書きて偲びぬ明日という字を
おののきも悲しみもなし絞首台 母の笑顔をいだきてゆかむ
「きけわだつみのこえ」収録 宋 左近 : 著 : 「詩(うた)のささげもの」 : 新潮社
この短歌は第二時世界大戦後、上官が起こした捕虜虐待の罪を被って死刑になった京都大学を卒業後兵卒についた木村久夫さんが、処刑直前に残した辞世の短歌です。罪を起こした上官は罪を逃れ、無実の自分が裁判にかけられ、捕虜虐待の責任を負って極刑に処される。 戦争というものを、我々に深く考えさせる辞世の句です。
戻る