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エーリヒ・ケストナーの祈り どうしておとなはそんなにじぶんの子どものころをすっかり忘れることができるのでしょう?そして、子どもは時にはずいぶん悲しく不幸になるものだということが、どうして全然わからなくなってしまうのでしょう?(この機会に私はみなさんに心の底からお願いします。みなさんの子どものころをけっして忘れないように!と。それを約束してくれますか、ちかって?) この人生では、なんでかなしむかということはけっして問題ではなく、どんなに悲しむかということだけが問題です。子どもの涙はけっしておとなの涙より小さいものではなく、おとなの涙より重いことだって、めずらしくありません。誤解しないで下さい、みなさん!私はただ、つらい時でも、正直でなければならないというのです。骨のずいまで正直で。 人生の真剣さというものは、お金のために働くようになってからはじまるというものではありません。そこではじまり、それでおわるものでもありません。こんなわかりきったことを、みなさんが大げさに考えるようにと思って、私はことさらとりたてていうのではありません。また、みなさんをおどすためにいうのでもありません。いや、いや、みなさんはできるだけ幸福になってください!愉快にやって、小さいおなかがいたくなるほど笑ってください! かしこさのともなわない勇気は、不法です。勇気のともなわないかしこさは、くだらんものです!世界史には、ばかな人々が勇ましかったり、かしこい人々が臆病」だったりした時が、いくらもあります。それは正しいことではありませんでした。 エーリヒ・ケストナー 著 「飛ぶ教室〜第二のまえがき」より : 岩波世界児童文学集 |