藤木正三の祈りT

命を求める

私達は名誉を求め、財を求め、幸福を求めて生きています。生きるということは何かを求めてのことですから、それはそれでよいのですが、では果たして自分の命は求めているかといえば、生きていることを当然として求めてはいないのではないでしょうか。命を求めるとは長生きを求めるという意味ではありません。生きていることに感激し、生かされていることに感謝し、要するに生きていることを当たり前のこととせず、その不思議に感動することです。この感動がなければ、人間は被造物の頭どころか、名折れです。

(名折れ:名誉が傷つけられること。不名誉。:岩波国語辞典より)

藤木正三・工藤信夫 : 著 :「福音はとどいていますか」 : ヨルダン社

この世での人間の生き方は、名誉欲、成功欲、幸福欲、征服欲に満ち溢れている。競争に勝つこと、相手を蹴落とすこと、少しでも有名になること、そのような生き方や価値観で満ちている。でも、大切なことは、この世には様々な価値観があり様々な生き方があることを分ること、相手の立場を理解し尊重すること、命を大切にすることではないだろうか?自分だけが正しく立場や考え方や宗教の異なる相手を攻撃し破壊する21世紀初頭の今日の現状には、自分だけが正しいという傲慢さを感じてしまう。また、成功するのが正しく、悩んだり上手くいかない人生を嘆いたりすることを拒む現在の風潮には、命に対する冒涜を感じてしまう。自分の命は生かされていること、また現実に問題や悩みのある自分の姿ををあるがままに認めることが大切であり、この現実の中でのわずかばかりの感動や命そのものが何物にも変えがたいことに気付くことが大切であると私は思う。

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