|
|
|
|
森崎 和江の祈り 或る日二十代の未知の女性が空路利用で来訪。執筆中のコタツへ通す。苦しげに彼女が問うた。なぜ本など書くのです、ゴミでしょう、と。公害でしょう、と。とある心療内科病棟から退院直後とのこと。私は忘れかけていた遠い日の自分を見てしまう。それは性暴力で仲間を失った日以来の。彼女に数日泊まってもらう。彼女の手料理はやさしい。ほのかな味覚。溜まった本の整理を頼みながら雑談する。あのね、本もいろいろあるけど、でもね、本とは明日生まれるいのちへのラブレターなの。いつの世も。 森崎 和江 : 著 : 「いつもそばに本が 」より : 朝日新聞 : 2001年8月26日 朝刊 |