癒しの音楽U
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癒しの音楽U---音楽鑑賞を10倍楽しもう

  平成14年10月26日仙台市太白図書館企画

 昨年、太白図書館の企画で「癒しの音楽」というテーマでお話をさせていただきましたが、その中で参加された方々から、「曲目が多すぎて中途半端な感じだったので1曲をゆっくり聴きたい」という要望が多く寄せられました。そこで、今回は「癒しの音楽」の第2回目としまして、テーマを絞って、1曲をじっくりお聞きいただくよう準備させていただきました。

1.まず、名曲を見つけましょう。
  1.バッハ作曲 : 「小フーガ ト短調BWV578」 : ヘルムート・ヴァルヒャのオルガン独奏 
  2.ヘンデル作曲 : 「水上の音楽よりアンダンテ」 : コレギウム・アウレウム合奏団
  3.パッヘルベル作曲 : 「カノン」 : パイヤール指揮パイヤール室内管弦楽団
  4.グリーグ作曲 : 「ペールギュントより朝の気分」 : ノイマン指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
  5.リムスキー・コルサコフ作曲 : 「シェエラザードより第3楽章」 : コンドラシン指揮アムステルダム・コンセルトへボウ管弦楽団
  6.フォーレ作曲 : 「レクィエムよりピエ・イエス」 : ジャン・フルネ指揮ロッテルダム・フィル
    エリー・アメリンクの独唱
  7.メンデルスゾーン作曲 : 「交響曲第4番イタリアより第3楽章」 : アバド指揮ベルリンフィル
  8.グリーグ作曲 : 「二つの悲しい旋律より」 : マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団
  9.リヒャルト・シュトラウス作曲 : 合唱曲「サンクトゥス」 : ベルリン室内放送合唱団
  10.モーツアルト作曲 : 歌曲「春へのあこがれ」 : エリー・アメリンクの独唱

 やはり去年の参加された方々からのご意見を取り入れて声楽曲を増やしてみました。いずれも、演奏が素晴らしく、心にしみるものを選ばせて頂きました。
 1では、バッハの祈りをそのまま体験できるようなヴァルヒャの演奏を選ばせて頂きました。
 2の水上の音楽では現代楽器のフルートによる演奏ではなく、ヘンデルの生きていた時代の木製のフルートトラヴェルソをもちいた演奏でお聞きいただきました。
 3の「カノン」は有名で幾多の演奏がありますが、私が聞いて最も優れていると思われるパイヤールの演奏を選ばせて頂きました。講演終了後の参加された方からの感想でこんなに素晴らしいパッヘルベルのカノンの演奏は初めて聴いたとのご感想を頂きました。
 5のシェラザードも幾多の名演奏があり、この講演会終了直後にもゲルギエフの素晴らしいライヴのCDが発売になりましたが、ソヴィエト連邦から西欧に亡命して音楽監督就任が決まった直後に突然死した名指揮者コンドラシンが最もヨーロッパの雰囲気を残しているといわれるそのアムステルダム・コンセルトヘボウ管を指揮した名演奏を選んでお聞きいただきました。
 6は昨年の講演会で最も感動したと評判のフルネとロッテルダム・フィル、アメリンク独唱の演奏を選ばせて頂きました。ほかに、ジュリーニ指揮フィルハーモニア管、キャスリーン・バトル独唱の名演奏も用意いたしましたが、時間の関係で省略いたしました。
 7はもうこれ現代の最高の名演奏ではないかと思って選ばせて頂きました。

2.同じ曲を、異なる演奏で聴いてみましょう。
  音楽の楽しみ方の1つに、同じ曲を異なった様々の演奏で聴いてみると、いろいろな発見があって面白く、曲の多面性や、演奏一つで曲のイメージが全く異なってしまうこともあります。
 1.バッハ作曲 : 管弦楽組曲第3番より「アリア」
    祈りの時によく使われる名曲です。華やかな全曲の中の祈りの音楽--バッハは素晴らしい  カール・リヒター指揮ミュンヘンバッハ管弦楽団
    現代楽器による演奏です。
  ゲーベル指揮ムジカ・アンティカ・ケルン
    古楽器の力強いえんそうです。
  モーリス・アンドレのトランペット独奏
    祈りのイメージを持つこの曲も、このように明るい演奏になるかとちょっと驚きの演奏です。
 2.ラフマニノフ作曲 : 「ヴォカリース」
  ゴスミン指揮チャイコフスキー室内管弦楽団
  ローラ・ボベスコのヴァイオリン独奏、ベマンのピアノ伴奏
    この曲もたくさんの演奏があります。ヴァイオリン用に編曲されてもいるので多くの名人が録音しています。しかし、ローラ・ボベスコは音色に独特の曇りがあり、この悲しい曲をいっそう悲しくすすり上げるような味付けが加わった演奏になっています。
 3.レスピーギ作曲 : 「リュートのための古代舞曲とアリア第3組曲よりシシリエンヌ」
   レスピーギは民謡や古い伝承音楽の保存にも努めたイタリアの作曲家です。リュートの演奏が見つかりませんでしたので、ギター、ハープ、オーケストラの3種類の演奏で聞き比べました。
  エンゲロ・ロメロ(ギター)
  吉野道子(ハープ)
  ドラティ指揮フィルハーモニア・フンガリカ(オーケストラ)

3-1.モーツアルトは素晴らしい。
  モーツアルトの音楽は心にすーっと入ってきて、私たちの気持ちをなだめたり、癒したりしてくれます。たくさんの名曲があり、選択に多いに迷うのですが次の2曲を選びました。
  1.モーツアルト作曲 : 交響曲第26番全3楽章 : カール・ベーム指揮ベルリンフィル
    この曲はめったに演奏されないたった5分少々の交響曲です。しかしこの短い交響曲の中にはモーツアルトのエッセンスが凝集されているように思われます。人間の喜怒哀楽、喜びや悲しみがすべて入っているように思われます。モーツアルトは人生の辛さや喜びを、小さい時から知り尽くしていたのではとも思わされてしまいます。
  2.モーツアルト作曲 : 弦楽三重奏曲:ディヴェルティメントKV563より最終楽章 : グリューミオーのヴァイオリン他の演奏
    この曲は「1まず名曲を見つけましょう」で聞いたやはりモーツアルトの「春へのあこがれ」とよく似たメロディーが出てきます。愉悦に満ちた楽しい心くすぐるような演奏です。独奏ヴァイオリンのグリューミオーは音色が大変きれいでモーツアルトを得意にしておりました。このような演奏で聴くと、モーツアルトの持つ明るい面が満遍なく表されているように思います。

3-2名人芸を楽しむ。
   1.モーツアルト作曲 : 交響曲題34番より第3楽章 カール・ベーム指揮ベルリンフィル
    この楽章は偽作(モーツアルトの名前で別の人が作曲したもの)といわれ、現在ではあまり演奏されません。しかし、このベームの演奏とクレンペラーの演奏には省略せず残っています。この曲でのオーボエとフルートの独奏のカラミが素晴らしいのです。ベームさんの演奏したベルリンフィルには当時世界最高のソリスト達がたくさんいました。当時のベルリンフィルにはローター・コッホというオーボエの名人がいて、オーボエのソロのパートを聴くのも当時のベルリンフィルのたのしみであったのです。フルート独奏はカールハインツ・ツェラーでしょうか、二人の独奏はそれは天上の音楽そのものです。それと比べるとクレンペラーの方はフィルハーモニア管弦楽団で独奏にあまり魅力がないのですが、時間の都合上聴き比べは省略させていただきます。
   2.モーツアルト作曲 : セレナード「ポストホルンよりロンド」 : カール・ベーム指揮ベルリンフィル
     この演奏でも前者同様オーボエの名人ローター・コッホとフルート独奏のジェームズ・ゴールウェイの演奏がもうてんじょうの音楽になっています。同じ曲でも、名人芸が楽しめると、また音楽の楽しみ方が増えてきて幅が広まります。

以上で、「癒しの音楽U--音楽を10倍楽しもう」の講演を終わらせていただきます。
ご静聴誠にありがとうございました。   

この後、病気療養中の方と関わる方より、病気療養中の方にお薦めの癒しの音楽について何から始めた良いかとの質問がありましたので、いかの曲をお薦めしました。
 モーツアルト:ピアノ協奏曲第17番、18番、20番、21番、23番、24番、26番、27番