癒しの音楽
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《癒しの音楽》---心をリラックスさせてくれる音楽とは?---

2001年10月27日---仙台市太白図書館講演会要旨

 現代は大変な困難な時代に入り、仕事や日常生活でストレスを感じる人が多くなってきました。
 今回の講演では、そのようなストレスを解消する《癒しの音楽》、とくにクラッシック音楽に付いて述べさせていただきます。なぜクラッシック音楽が《癒し》につながるかと申しますと、日本人の大脳の機能に関係があるからです。日本人の言語や論理を扱う大脳は左脳であり、虫の声やせせらぎなどの自然の音も、また邦楽器も左脳で処理してしまう特性があり、左脳の使用過多が問題になるからです。これに対して、クラッシック音楽では人間の脳は人種を問わず右脳で処理しますので、ストレス発散という右脳の活性化、左脳の休息に最適だからです。
 またクラッシック音楽の歴史として、17世紀ころより鬱病や神経症の治療に用いられ始め、第二次世界大戦後そしてベトナム戦争の頃より、こころに傷を負った人々に音楽療法が用いられてきたこと、そして最近では医療の補助療法としての音楽療法が盛んに取り入れられるようになったことが挙げられます。
 音楽療法の精神・身体的効果としまして、1.鎮静、2.睡眠、3.緊張緩和、4.抗うつ効果、5.不安の解消、6.心の平安、7.鎮痛効果、8.永遠への想い・祈りなどが挙げられます。
 今回の講演では、長い曲、たとえばブルックナーやマーラーなどの音楽は時間の都合上、取り上げないで、短い曲に絞らせていただきました。
 また、同じ曲でも演奏が異なると印象も異なることがありますので、数曲でそれを体験していただこうと存じます。
 同じ作曲家の曲でも演奏の質もまた大切になりますので、なるたけ優れた演奏を選ぶことも大事です。今回の講演が、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
 さっそく、実際に聞いていきましょう。

@.鎮痛
 1.チャイコフスキー:「アンダンテ・カンタービレ」:ボロディン弦楽四重奏団
 2.フォーレ:「夢のあとに」:小沢征爾指揮ボストン交響楽団、アンドレ・ナヴァラの独奏
 3.モーツアルト:「クラリネット五重奏曲第二楽章」:アルレッド・プリンツ独奏ウィーン弦楽合奏団、   ウラッハ独奏ウィーンコンツェルトハウス四重奏団
 4.モーツアルト:「フルートとハープのための協奏曲第二楽章」:シュルツ(Fl)、サバレタ(Hp)、ベ  ーム指揮ウィーン・フィル
 5.フォーレ:「シシリエンヌ」:ミュンシュ指揮フィラデルフィア管弦楽団、小沢征爾指揮ボストン交  響楽団
  6.ヴォルフ・フェラーリ:「マドンナの宝石より間奏曲第一番」:ラビノウィッチ指揮ロンドン交響楽団
 7.ドヴォルザーク:スラヴ舞曲作品72の8:ヴァーツラフ・ノイマン指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス
A.睡眠
 1.ドビゥッシー:「月の光」:ミシェル・ベロフ
 2.サティー:「ジムノペディ第1番」:パトリック・ガロワFl独奏、プレートル指揮フランス国立管弦楽   団
  3.シューマン:「トロイメライ」:ホロヴィッツ
 4.モーツアルト:ピアノ協奏曲21番第2楽章:グルダ(P)アバド指揮ウィーンフィル
 5.ベートーベン:「月光ソナタ第1楽章」:フリードリッヒ・グルダ
 6.ラヴェル:「亡き王女のためのパヴァーヌ」:クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団
 7.フォーレ:「パヴァーヌ」:小沢征爾指揮ボストン交響楽団
B.緊張緩和
 1.チャイコフスキー:「弦楽セレナーデより第2楽章ワルツ」:バルビローリ指揮ロンドン交響楽団
 2.シューベルト:「ロザムンデ」:ブレンデル(即興曲op142第3番)、ボスコフスキー指揮ドレスデン  国立管弦楽団、メロス弦楽四重奏団
 3.ハイドン(実際はホフシュテッター作曲):「セレナーデ」:イタリア弦楽四重奏団、アマデウス弦  楽四重奏団
 4.モーツアルト:ホルン協奏曲第1番:デニス・ブレイン(Hr)カラヤン指揮フィルハーモニア管弦  楽団
 5.モーツアルト:ディヴェルティメントK.334より「メヌエット」:ボスコフスキー指揮ウィーン・モーツア  ルト合奏団
 6.ヴィヴァルディ:「四季より冬第2楽章」:フェリックス・アーヨ(Vn)イ・ムジチ合奏団
 7.クライスラー::「愛の悲しみ」:パールマン独奏、クライスラー(作曲者)自作自演
 8.ハイドン:「弦楽四重奏曲ひばり第1楽章」:イタリア弦楽四重奏団、ウィーンコンツェルトハウス  弦楽四重奏団
 9.マスカーニ:「カヴァレリア・ルシティカーニから間奏曲」:カラヤン指揮ベルリンフィル
 10.ベートーヴェン:「ピアノ協奏曲第4番より第1楽章」:ポリーニ(Pf)ベーム指揮ウィーンフィル
C.抗うつ効果
 1.マスネー:「タイスの瞑想曲」:シュワルヴェ(Vn)カラヤン指揮ベルリンフィル
 2.ドビュッシー:「月の光」:ベロフ
 3.オッフェンバック:「ホフマンの舟歌」:カラヤン指揮ベルリン・フィル
 4.ビゼー:「アルルの女第2組曲よりメヌエット」:クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団
 5.ラフマニノフ:「ヴォカリース」:ローラ・ボベスコ(Vn)
  6.モーツアルト:「弦楽四重奏曲第15番第3楽章」:ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団
D.不安の解消
 1.グリーグ:「ペールギュントより朝」:ヴァーツラフ・ノイマン指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス
 2.バッハ:「カンタータ147番 主よ人の望みの喜び より終曲」:リヒター指揮アンスバッハ管弦楽  団
 3.ベートーヴェン「ロマンス第2番」:グリューミオー(Vn)ハイティンク指揮アムステルダム・コンセル  トヘボー管弦楽団
 4.ブラームス:「交響曲第3番より第3楽章」:カラヤン指揮ベルリンフィル
  5.モーツァルト:「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」:ボスコフスキー指揮ウィーンモーツアルト合奏  団、イ・ムジチ合奏団
 6.バッハ:「フルートソナタBWV1031より第2楽章シシリエンヌ」:ニコレ(Fl)リヒター(Cem )      
 7.ドヴォルザーク:「スラヴ舞曲op72の2」:ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団
 8.マンフレディーニ:「クリスマス協奏曲第1楽章」:カラヤン指揮ベルリンフィル、コレギウムアウレ  ウム合奏団
 9.シューマン:「交響曲第2番第4楽章」:サヴァリッシュ指揮ドレスデン国立管弦楽団
 10.ウェーバー:「クラリネット協奏曲第1番第3楽章」:オッテンザマー(Cl)ヴィルトナー指揮スロヴ   ァキアフィル、ライスター(Cl)クーベリック指揮ベルリンフィル
E.心の平安
 1.モーツァルト:「クラリネット協奏曲第2楽章」:プリンツ(Cl)ベーム指揮ウィーンフィル、ライスター  (Cl)クーベリック指揮ベルリンフィル
 2.モーツァルト:「ピアノ協奏曲第20番第2楽章」:グルダ(Pf)アバド指揮ウィーンフィル、カーゾン  (Pf)ブリテン指揮イギリス室内管弦楽団
 3.バッハ:「管弦楽組曲第3番よりアリア」:マゼール指揮ベルリンRIAS管弦楽団、リヒター指揮ミ  ュンヘンバッハ合奏団
 4.ヘンデル:「水上の音楽より組曲ト長調アンダンテ」:コレギウムアウレウム合奏団
 5.ラッスス:「五声のためのミサ曲」:サマリー指揮オックスフォード・カメラータ
 6.「グレゴリオ聖歌」:サント・ドミンゴ・シロス修道院合唱団
 7.バッハ:「2つのヴァイオリンのための協奏曲第2楽章」:シェリング(Vn)リバール(Vn)ウィンター  トール室内管弦楽団、フランチェスカッティ(Vn)
 8.ブラームス:「合唱曲砂の精」:ヴェルニゲローデ少年少女合唱団
F.鎮静効果
 1.レスピーギ:「リュートのための古代舞曲とアリア第3番」:ペペ・ロメロ(Gy)、吉野直子(Hp)、ドラ  ティ指揮フィルハーモニアフンガリカ
 2.ドビュッシー:「牧神の午後への前奏曲」:プレトール指揮フランス国立管弦楽団、マルティノン指  揮フランス国立放送管弦楽団
 3.ドビュッシー:「亜麻色の髪の乙女」:クロスリー(Pf)、パトリック・ガロワ(Fl)
 4.ベートーヴェン:「ピアノソナタ第8番悲愴より第2楽章」:フリードリッヒ・グルダ(Pf)
 5.シューベルト:「アルペジョーネ・ソナタ第1楽章」:ロストロポーヴィッチ(Vc)ブリテン(Pf)
 6.ハイドン:「弦楽四重奏曲皇帝より第2楽章」:ウィーンコンツェルトハウス弦楽四重奏団、アマデ  ウス弦楽四重奏団、イタリア弦楽四重奏団
 7.フォーレ:「夢のあとに」:小沢征爾指揮ボストン交響楽団、アンドレ・ナヴァラ(Vc),エリー・アメ      リ ンク(Sop)
 8.リムスキー・コルサコフ「シェエラザードより第3楽章」:キリル・コンドラシン指揮アムステルダム・コ  ンセルトヘボー管弦楽団、ロストロポーヴィッチ指揮パリ管弦楽団
 9.パッヘルベル:「カノン」:パイヤール指揮パイヤール室内管弦楽団
G.永遠への想い、祈り
 1.フォーレ:「レクィエムよりピエ・イエス」:エリー・アメリンク(Sop)ジャン・フルネ指揮ロッテルダム・  フィルハーモニー、クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団
 2.バッハ:「小フーガ」:ヘルムート・ヴァルヒャ(Org)
 3.バッハ:「ロ短調ミサ曲より終曲」:ジュリーニ指揮バイエルン放送交響楽団、リヒター指揮ミュン  ヘンバッハ管弦楽団
 4.ベートーヴェン:「ミサ・ソレムニスよりベネディクトゥス」:ゲルハルト・ヘッツェル(Vn)ベーム指揮ウ ィーンフィル

 以上の曲を会場の皆様と共にお聞きいただきました。時間の都合上残念ながら割愛させていただいた演奏もあります。
 また、実践でよく使われるオルフ作曲「カルミナ・ブラーナ」や曲全体が癒しの音楽となるブラームスの交響曲第2番および第4番も素晴らしいですので、機会がございましたら一度お聞きいただければ幸いです。
 また、モーツアルトのピアノ協奏曲(特に第9番、第17番〜第27番)も特別の癒しの効果のある曲ですので是非お聞きになることをお薦めいたします。
  それに、モーツアルトのピアノソナタ全曲(特にラローチャ独奏)やシューベルトの交響曲全集(特にコリン・デイヴィス指揮ドレスデン国立管)、ロッシーニの弦楽のためのソナタ全6曲も癒しの音楽としてふさわしいものです。
 それらのお薦めのCDは、私のホームページの「音楽療法」をご参照いただければ幸いです。
 この講演会が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

参考文献

1.日野原重明 : 監修 : 「音楽療法入門」上理論編、下実践編 : 春秋社
2.日野原重明 : 著 : 「音楽の癒しの力」 : 春秋社
3.スーザン・マンロー : 著 : 「ホスピスと緩和ケアにおける音楽療法」 : 音楽之友社
4.貫 行子 : 著 : 「高齢者の音楽療法」 : 音楽之友社
5.山松質文 : 著 : 「音楽療法へのアプローチ」 : 音楽之友社
6.ONTOMO BOOK : 「音楽でリラックス」 : 音楽之友社