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先生のプロファイル

 


もっと詳しく“ペインクリニック”を知りたい方に・・・!!

 

1.麻酔科(ペインクリニック)での痛みの治療について

2.ペインクリニックの由来と疾患

3.アレルギー性鼻炎について

4.がん性疼痛、慢性痛、心の痛みについて


1.麻酔科(ペインクリニック)での痛みの治療について

麻酔科での治療は「ペインクリニック」、つまり痛みを治す医療です。頭から足先までのあらゆる痛みを、神経ブロックを中心として薬物療法、東洋医学治療、心理療法で治療します。

ペインクリニックは、日本では1962年に東京大学に初めて開設されました。

ペインクリニックの治療の柱となる「神経ブロック」は、神経や神経周囲に薬を入れ、痛みを直接取ります。また、自律神経のうちの交感神経という緊張した時に働く神経をブロックします。このことにより、血管の循環は改善され、炎症も抑えられます。

治療は、神経ブロック、単独で行われるわけではありません。状況により、薬物療法、東洋医学治療、心理療法などが併用されます。

今日の社会は家族制度が崩壊し、バブルがはじけるといった不安定な状況です。そうした中、「痛み」を抱え、身体・心身のバランスを崩す人々が増えています。ストレスによる「心の痛み」が体の痛みになる人もいます。

治療には神経ブロックや、東洋医学的治療、心理療法が用いられます。いずれも患者さんの話を良く聞き、痛みの原因がどこから来ているか十分に検討することが大切です。

痛みを除いて抵抗力をアップ

神経ブロックには三十種類ほどの方法がありますが、当クリニックで主に行っているのは以下のものです。腰・下肢痛が原因の疾患には硬膜外ブロック、後頭神経痛には後頭神経ブロック、顔面の痛みを起こす三叉神経痛には三叉神経ブロック、頭痛・頚背部上肢痛には星状神経節ブロックをそれぞれ施します。

星状神経節ブロックは自律神経を一時的に遮断することにより、血流改善効果があります。最近、それ以上の効果も分かっています。

血の流れを良くするということは脳の血流も増加させます。すると、脳にある間脳・下垂体・視床下部という自律神経やホルモンの調節を行う中枢の血流も改善されます。

こうしたプロセスを経て、自律神経の調節等の活動は正常化し、免疫力(抵抗力)もアップします。星状神経節ブロックを行うことで痛みだけでなく、合併する病気も良くなるのです。

神経ブロックは注射で行うので、どんなに効果が大きくても注射が嫌いな人にはできません。そうした人には東洋医学治療を取り入れます。東洋医学治療は、効果がある時には西洋医学にも負けない威力を発揮します。

神経ブロック、東洋医学的治療、心理療法で限界がある場合は、専門家に専門的治療を依頼します。手術をすることもあれば、そのまま保存的な治療で済むこともあります。麻酔科は、痛みに苦しむ人にどういった専門家を紹介するか、その窓口にもなっています。

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2.ペインクリニックの由来と疾患

では麻酔科でなぜ痛みを扱うようになったのか、その話をしましょう。麻酔科では以前から神経ブロックを用いる麻酔が、全身麻酔と共に行われてきました。その中で、神経ブロックが多くの疼痛疾患に応用できることが分かってきました。また、最近は手術後の疼痛を抑えた方が患者さんの治りも早く、麻酔科の専門の医師のいる病院では、手術後の疼痛をできるだけ取り除く努力がなされています。

痛みは患者さん本人しか分からず、医師を含めて他人に自分の痛みを伝えることができないこともあります。多くの医療施設で疼痛の原因が分からず、ほとんど治療を受けられなかった患者さんが、ペインクリニックでの一回の注射で治ってしまうこともあります。

次に、麻酔科ペインクリニックで扱う痛み・疾患について述べてみましょう。頭痛、三叉神経痛、顔の不愉快な痛み、顔面神経麻痺、頚背部痛、腕の痛み・しびれ、肘痛、手の痛み・しびれ、胸背部痛、四十肩、五十肩、肋間神経痛、尿管結石、腰下肢痛、ギックリ腰、膝痛、足痛、座骨神経痛、手術後の痛み、骨粗しょう症、レイノー病、腱鞘炎、外傷後の痛み、帯状疱疹などです。

また、東洋医学的治療も行われるため、生理痛、便秘、下痢、こむら返り、肩こり、リウマチ、腹部手術後の便通障害、大病後の全身状態の改善、不定愁訴、体質改善なども含まれます。もちろん、悪性腫瘍が疑われたり、ペインクリニックでの治療に限界がある場合は専門家に紹介します。

現代医学は専門化、細分化がどんどん進んでいますが、麻酔はどのような病気を持つ患者さんにも安全に行わなければなりません。そのため麻酔科では、ほとんど全科にわたる医学的知識を必要とします。医師になってから麻酔、痛み、救急蘇生の勉強だけでなく、医学全般にわたって勉強をしなければなりません。

また、麻酔中の患者の全身管理や集中治療での重症患者さんの全身管理も幅広い知識を必要とします。手術の麻酔や集中治療を通して各科の専門の先生とも幅広く知り合いになり、そのため専門家への紹介もスムーズになるわけです。

横綱級の痛み 帯状疱疹後神経痛

ここでは、疼痛疾患の中でがん性疼痛に比肩される帯状疱疹の痛みについて述べます。

帯状疱疹は、ヘルペスウィルスが三叉神経節や脊髄神経根に炎症を起こし、その炎症が神経に沿って進行し、皮膚に皮疹を起こし神経痛を起こす病気です。最近、このヘルペスウィルスを殺すよい薬ができ、各医療施設で治療されています。ところが、この病気になる人の中で疼痛だけを激しく残し、一生その痛みのために苦しむ人がいます。これを「帯状疱疹後神経痛」といって、痛みの中でもがん性疼痛と並んで横綱級の痛みです。この帯状疱疹後神経痛を予防するには帯状疱疹になってからニ週間以内にペインクリニックで神経ブロックを行うことです。特に皮疹のある部分に感覚の異常がある場合は注意しなければなりません。

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3.アレルギー性鼻炎について

スギ花粉やハウスダスト(家ダニやチリ)によるアレルギー性鼻炎の患者は、国民の10%とも20%ともいわれ、国民病と騒がれています。しかし、だれもがこの鼻炎にかかるわけではありません。免疫機能の正常な人は大丈夫で、スギ花粉などの抗原に過剰に反応する人だけが苦しめられることになるわけです。

ですから、その対策は抗原を体内に入れない(非常に難しい)か、抗原が侵入しても抗体をつくらせないことです。その最も効果的な方法が、星状神経節ブロック療法です。

化学伝達物質の遊離を抑制する抗アレルギー薬、ヒスタミンによる反応を抑える抗ヒスタミン薬は、退治につながらない対症療法です。

なお、スギ花粉症の目のかゆみをとるために、ステロイドの点眼薬が多く用いられていますが、副作用として白内障(目の水晶体が白濁して視力障害を起こす病気)、緑内障(目の中の眼圧が高くなって痛みを伴う病気)を招く恐れがあります。「セレスタミンという薬はよく効きます」と、それがステロイド剤であることを知らず、常用していた患者さんもいました。薬はよく確かめてから用いないといけません。

星状神経節ブロック療法の効果は、それぞれにとっての必要回数を行えば、退治も可能ということです。必要回数は個々により異なり、三十回でよいこともあれば数十回、あるいは100回以上を必要とします。それは個々に遺伝とか体質により異なるし、またその時点でどれくらいストレス刺激を感じているか、ステロイド薬をどれくらい服用したか、向精神薬の服用などが影響してくるからです。

いずれにしろ、星状神経節ブロック療法を始めた段階から症状が軽くなり、さらに回数を重ねれば、翌年以降も発症しないか症状を軽くすませるということが可能です。

アレルギー性鼻炎とまぎらわしい血管運動性鼻炎(いわば鼻の自律神経失調症のような病気)には対症療法の薬もありませんが、星状神経節ブロック療法がよく効きます。自律神経の歪みを正すからです。

星状神経節ブロック療法は、妊娠中の女性に行っても何の問題もありません。

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4.がん性疼痛、慢性痛、心の痛みについて

ここでは麻酔科ペインクリニックで扱う病気のうち、がん性疼痛、慢性痛、心の痛みについて述べます。

現在日本人の死因の第一位は「がん」です。がん治療の過程の中で患者さんは衰えていく身体機能に喪失体験を味わいます。また、なぜ自分がこのような目にあわなければならないのかという疑問、孤独感、不安、恐怖感にさいなまれます。残される家族のことも気掛かりです。さまざまな思いをはせ、自分自身の身体の激しい疼痛に苦しむのです。

現在、がん末期の患者の「生活の資」を高め、「死の教育」を行おうという試みが行われています。がん性疼痛に対しWHO方式という除痛方式が確立され、かつ疼痛を少しでも軽減しようと神経ブロック療法も試みられています。痛みが取り除かれるだけでも患者さんの前向きな生活が得られることが多いのです。

また、がん末期の医療はターミナルケアと呼ばれ、全人的、社会的、精神的ケアが試みられようとしています。東北労災病院や宮城県立がんセンターにホスピスを作る運動もその一つです。現在、多くの主治医の先生が、がん末期の治療を行っていらっしゃいます。また、2000年4月1日より、東北大学医学部附属病院に、27床の緩和医療病棟(ホスピス)が国立大学では、全国で初めてオープン致します。

ホスピスは医療採算面で赤字になることが多く、なかなか普及しないのが現状です。高齢者社会を迎えると、がん死の増加が予想されます。一人一人が人間としての尊厳を保ち、人生という修業を乗り越えて、天国に凱旋できれば・・・。そんな思いから本格的ホスピスの設置を望まないではいられないのです。

痛みを乗り越えられる社会に

慢性痛は六ヶ月以上続く痛みのことで、患者さんが脳や脊髄という中枢神経レベルで「痛み」を記憶として持ち、治療困難なことも多いため、患者さんの社会生活をも崩壊させることがよくあります。予防するには慢性痛になる前の急性期の時期に徹底的に痛みを取ることが一つの方法です。他人の痛みは分からないものですが、慢性痛の患者さんは自分の痛みを医師にも家庭にも理解されないことが多々あります。そのため心理的精神的な痛みを伴い、心理療法や精神科の先生の治療を必要とします。激動する社会や価値観の変化する世の中は心の痛みを生み、それが慢性痛という形で身体症状に表れます。

人は自分を他者と比べることなく、自分らしく生きる権利を持っています。また、この世に裸で生まれ、裸のままで死んでいきます。苦痛は忍耐を生み、忍耐は練達を生み、その練達は希望を生み、その希望は失望に終わりません。

ベートーベンが音楽家にとって致命的な難聴という試練の中で、素晴らしい音楽を生み、その精神が時を超えてわれわれに感動をもたらしています。がんという状況、慢性痛という痛みは確かに苦痛です。でも、もしそれがその人の宝物となったらどうでしょうか。きっと人生を否定的、絶望的ではなく、前向き肯定的に生き、周囲の人々をも励まし、高めてだっていけるに違いません。そんな生き方を実現する社会、医療ができることを祈ってやみません。

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